前日、金曜日の朝に旧市街で起こったテロの為に、旧市街とその周囲はまだ影響を受けています。
しかし、元より土曜日はベツレヘム観光を予定していました。
無事に観光できればいいのですが…。
有事発生翌日の旧市街周囲の様子
朝フロントで、ベツレヘムバスはテロの影響なく運航しているか確認します。
フロントマンはイスラエル在住の人だったので、ベツレヘムから出勤している人に確認してくれた所、バスは動いている、との事でした。
ならば、予定通りベツレヘムへ向けて出発!
ホテルから一番近いHerod’s Gateです。
小さな扉が開いていたので、警備兵に声をかけて旧市街へ入る事にしました。
昨日チェックしたベツレヘム・バスのバスステーションは、ダマスカス門の近くだったので、旧市街内を通って向かう事にします。
ダマスカス門、11時過ぎでこの状態。
シャッターが閉められ、閑散としているのは、前日の影響でしょう。
ここから外に出る事にします。
せっかくなので、閑散としたダマスカス門の中をゆっくり観ています。
一部朽ちていますが、大きな門です。
ダマスカス門から出る事はできるけど、入る事はできません。
私はここから旧市街を出て、アラブバス乗り場を目指します。
アラブバスに乗車
ダマスカス門を出ると、この光景。
イスラエル警察によってガッツリ封鎖されています。
嫌な予感を抱きつつ、バスステーションに向かいます。
こちらが、事前に確認していたアラブバス・ステーション。
HaNevi’im Terminal
231番でベツレヘム内部まで、24番でベツレヘムのチェックポイントまで連れて行ってくれます。
ですが、誰も居ないし、バスなんか1台も止まっていません。
そりゃそうでしょう。周囲道路は封鎖されているのだから、バスが入るのは物理的にムリ!
途方に暮れていると、偶然おじいさんとすれ違ったので尋ねると、別の場所から出発している、との事。
場所を教えて貰い歩いていると、そのおじいさん、また別の観光客につかまっていました。
面倒なので、私を指差して大声で「彼女について行け!」と言っていました。
みぃ~つけた!!
白とブルーのアラブバスです。
Yaffo gateのバス停です。
普段から利用されているバス停ですが、この日はターミナルが使えなかったから、車道にバスが縦列駐車されています。
バスが沢山止まっているけど、前を歩く観光客がバスに吸い込まれていくので、迷う事はありませんでした。
ベツレヘムまで約50分 6.8NIS。
ドライバーに直接現金支払いです。(この時は。今はRUV-KAVカードが利用できるそうです。)
ベツレヘム到着後タクシーチャーターで観光
ベツレヘムではイスラエルやヨルダンで利用しているSIMは使えません。
どう観光したら良いのか分からないので、タクシーチャーターをするつもりでいました。
もちろん、数人でシェアして。一人ではコスパ悪すぎです。
バスの乗客はみんな観光客だから、きっとシェアードツアーを組みたがる人が居るハズ、と楽観視していたけど、バスを降りるとみんな一瞬で散ってしまいました。
3人でドライバーと交渉していたグループに声を掛けてシェアする事になりました。
羊飼いの野 Shephard’s Field
まずはベツレヘム近郊の羊飼いの野という所に連れて来られました。
なんだかテーマパークの様な入口
教会の様なので、中に入ってみます。
中央のドーム天井から光が差し込みます。
羊たちとイエスのフレスコ画が描かれていました。
教会を出て歩いてみます。
ここは丘の上なので、ベツレヘムの街並みを見下ろせます。
続いて、洞窟っぽい教会に入ってみます。
天井が低く、洞窟感満載です。
簡素な祭壇です。
こちらの彫刻にも、羊たちがイエスの誕生を見守っています。
あとは、だだっ広い敷地内を歩いて過ごす、という感じ。
特に思い入れがなければ、わざわざ時間を掛けて来る必要は無いかと思います。
Flower Thrower バンクシーの「花束を投げる男」
このwall artを観る為に、タクシーチャーターを行ったと言っても言い過ぎではないくらい、見たかった壁画です。
羊飼いの野からベツレヘムに戻ってくる道中、突然ドライバーが「banksy!」と言って車を停めました。
金網越しにあの画が見えます。
私はテンションmax!でも、他の3人はふ~んってな感じ。写真も撮りません。
私一人だけ車を降りて金網越しに写真を撮りました。
金網より前にレンズを持って行くと金網が入らない写真を撮れるけど、そうすると全体像が入りません。
それ位大きな画なので、ガソリンスタンドの裏側に回って画の前に言っても、全体像を収めるのは難しいと思います。
近くにこんな画もありました。
道を挟んで向かい側は、プジョーのディーラーでした。
ここで、タクシーをシェアしている3人について。
私はカップルと一人旅男性がタクシーシェアをしていて、そこに加えて貰ったと思い込んでいたのだけど、実は3人で旅をしているグループだったのです。
ポーランド人の3人組は敬虔なクリスチャンで、イエス関連の施設以外は興味無さそうでした。
逆に、私は宗教に疎いので、お互い補い合ってベツレヘム観光が良い感じでできた、という感じです。
Milk Grotto ミルク・グロット
ベツレヘム中心部まで戻り、タクシーを降りて最初に向かった教会がここ、ミルク・グロットです。
入口からして、もう可愛い。
中に入りましょう。
洞窟っぽい入口です。
地下への階段を降りると…
生まれたばかりのイエス
奥に進むと、修道女の方がお祈りを始められました。
基本、地下の教会だけど、ルーフトップに上る事もできます。
風が心地よいけど、暑いのですぐに退散。
土産物店に立ち寄ると…
続いて、こちらの土産物店に連れて来られました。
屋上からの景色を楽しませて貰いました。
当然、お買い物タイムも含まれています。
オリーブ細工を売りにしています。
ポーランド人3人は宗教グッズを夢中で物色し、大量に抱えています。
一方、物欲の無い私は…
宗教グッズは全く分からず、分離壁アートグッズばかり見ています。
かなり時間を持て余しながら店内をウロウロしていると、店員さんが水のボトルを出せ、と言ってきました。
飲み物を持ち込んだらダメなのか、怒られるのかな?と思いながらボトルを出すと、中のぬるくなった水を捨てて、浄水器からキンキンに冷えた水を入れ直してくれました。
「冷たい方が良いだろ!」と言いながら。
私は何も買わないのに、悪いな…と思ったけど、残りの3人が大量のお土産を購入しようと物色中なので、もう少し選ばせてあげて、という意味だったのだと解釈しています。
こちら、イスラエルにおけるパレスチナ領土の変遷。
聖誕教会
大量のお土産を購入し、テンション高めのポーランド人3人と、予想以上のコミッションを手に入れご機嫌なドライバーと一緒に、次の目的地へ歩いて行きます。
いよいよベツレヘム観光の目玉、聖誕教会です。
イエスが生まれた場所として、キリスト教信者にとっての聖地中の聖地です。
毎年行われるクリスマス・ミサは有名ですね。
2017年7月時は、改修工事中でした。
写真中央下の入口を目指します。
聖地の入口、華やかな装飾のある大きな重厚な扉でもあるのかと想像していたけど、実際はかなり質素です。
石壁に開けられた長方形、大人の男性なら頭をかがめないと当たってしまう位の高さ、これが入口。
その中に木製の扉があるのですが、特に彫刻などなく、質素なものです。
この写真は、中から外の扉へ向かって撮ったものです。
中は大理石の柱廊が広がり、床の一部にはモザイクも保護されて残っていました。
突き当りには、こちらの煌びやかな祭壇。
中央の美しいシャンデリアをはじめ、銀を基調とした華やかな祭壇だけど、ご覧の通り、足場が組まれ、こちらも改修工事中。
誰も居ません。若干違和感を感じつつ、右に曲がって進むと…
いきなりとんでもない数の人が並んでいました。
こちらが、聖誕教会の中でみんなが目指す、「イエス生誕の場所」へ続く地下への入口です。
私達が行った時、何人位だろう…100とか150とかそんな単位の人達がここに並んでいました。
いつ入れるか想像もつかなかったけど、20分程度で中に入れました。
中もこの通り大混雑。
こちらが正面。
こちらのイコンの真下に画の通り「イエスが生まれた場所」とされている場所があります。
皆一人ずつ中に入って、許されたほんの僅かな時間、思い思いの祈りを捧げます。
祈りが長くなると、外にいるスタッフから次の人に譲る様、促されます。
この地下空間の奥では、生誕の地へ向かって讃美歌を捧げるグループがいました。
以上、これらがベツレヘムを訪れる信者にとっての憧れの地でした。
私達が訪れた日は、エルサレム旧市街で有事が発生し、旧市街 及び その周辺地域でバリケード封鎖された翌日、という事もあり、これでも観光客はとても少ない方だ、とタクシードライバーが言っていました。
事実、翌年の5月にこちらを訪れたのですが、この日の10倍位の人が並んでいました。
近くにいたガイドらしい人に聞いてみたら、何時間かかるか分からない、と言っていました。
聖誕教会で聖誕の地を目指している方は、時間の余裕を持ってお越しください。
再び小さな扉を通って外で待つドライバーの元へ向かいます。
分離壁の壁画アート
最後に、分離壁の壁画を観に行きます。
最初に連れて来られたのは、有名なバンクシー作品。こちらです。
Armored Dove お馴染み、防弾チョッキを着た鳩です。
道の角、レストランの駐車場にあるので、簡単に来れます。
分離壁アートを観ていきましょう。
この近くに、バンクシーショップという名のお土産屋さんがありました。
主にバンクシー関連商品と、少しだけベツレヘムのキリスト教関連の商品を置いていました。
ここでもポーランド人3人組は、楽しそうにお土産を購入していました。
ショッピング終了後、再びタクシーへ乗り込みます。
車を走らせて数分後、ドライバーが店を指差しながら
あの店の中にバンクシーがあるから行きなさい、と言いました。
どうも、ハンガリー3人組はこの後ランチへ向かいたいらしい。
私はバンクシーをもっと観たいので、ここで途中離脱。
NIS25をドライバーへ渡し、3人とお別れ。
いきなり飛び込んできたアジア人を快く迎えてくれてありがとう!
お陰でコストを抑えて観光できました。
店の中に入ると、こちらの画がガラスで保護された状態で存在していました。
Girl Frisking Soldier 兵士をチェックする少女
さっきの店番の少年(小学生くらい)に、バンクシーを観たいんだけど、どっちへ行くの?と聞くと、あっち、歩いてすぐだよ、と教えてくれました。
道なりに歩くと、確かにありました。
Helicopter ヘリコプター
こちらは、バンクシー作品か分からないけど、バンクシー作品にHelicopterはあります。
Walled off Hotel
ここに来たかったのです。
さっきのヘリコプター、そしてこのwalled off Hotel、さっきツアー中に立ち寄った分離壁をそのまま進むとあるのです。
こんな観光地をワザとすっ飛ばすなんて、意地悪なドライバーです。
ツアー途中離脱して、ホント良かったわ。
パレスチナらしくない、コロニア調の建物っぽいですが、こちら、全て壁面書かれているだけで、実際は他の建物と同様に、真っ平なビルなんです。
お馴染みのドアマンに向かえて頂きました。
ちなみに、雨の日は左手に持っている中身をぶちまけられた鞄は、蓋が閉められています。
中はこんな感じ。
ちゃんとフロントスタッフに、宿泊者じゃないけど見せて貰っていい?と声を掛けています。
今回、そして翌年に訪れた時は、無料で見せて貰えたけど、コロナ後は入場料を取っているらしいですね。
バンクシーらしい、ウィットに富んだ作品が多数展示されていました。
聖誕教会、分離壁アート、ウォールド・オフ・ホテルについては、詳しく記事にしたいので、こちらでは簡単に紹介しました。
エルサレムへ戻ります
ベツレヘム・バスでエルサレムへ戻ります。
ここ、分離壁まで来ていたら、チェックポイントを越えた所にバス停があるのだけど、この時は知らず、街中のバス停まで歩いて戻りました。
真直ぐなので簡単だけど、結構距離があり、疲れました。
運よくバスが停車しています。
行きと同様、私が乗り込んだらほぼ満席ですぐに出発してくれました。
ここで、まさかの奇跡!
チェックポイントを越えた所のバス停から、ツアーバディのポーランド人3人組が乗って来たんです!
驚いて声を掛けたんだけど、明らかに雰囲気がおかしい。
どうも、女性が機嫌を損ねてしまって男性二人が持て余している様でした。
ややこしそうなので、私もそっとしておきました。
帰りはJaffa Gate前にバス停があったので、ここで降りました。
ここまでお付き合い頂き、有難うございました!