Israel/Palestine

初めてのイスラエル旅⑤ パレスチナの世界遺産「ヘブロン」を歩く。アラブ人ガイドによる旧市街編

ヘブロンは、パレスチナ自治区ヨルダン側西岸地区の南端に位置します。

3大宗教 イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の祖であるアブラハム(イブラヒム)の墓があり、聖地の一つです。

2017年7月7日にユネスコ世界遺産に登録されました。

この記事では、世界遺産に登録された直後の7月9日にツアーで訪れたヘブロンの様子をお伝えします。

HEBRON DUAL NARRATIVE TOURに参加した理由

パレスチナ自治区の中で、ベツレヘムは問題無く自力で行けるけど、他の都市も行きたいと思っていました。

特に3大宗教の聖地であるヘブロンは注目していた都市ですが、外務省の海外安全ホームページで調べると、ヘブロンはレベル2(不要不急の渡航中止)です。因みに、ベツレヘムはレベル1(十分注意)。

これは行けない、と諦めかけていた所、このツアーを見つけました。

詳しい内容は、こちらをどうぞ→ HEBRON DUAL NARRATIVE TOUR 

ホステルからガイドがついて、安心・安全にヘブロン観光ができる!

しかも、このツアーではユダヤ人ガイドとアラブ人ガイドがいて、双方から話を聞けるというユニークな内容となっています。

早朝のスタートだけど、待ち合わせ場所がAbraham Hostelのロビーと便利であり、宿泊者には割引価格が適応されるというおまけ付。

迷う事なく、Abraham Hostel宿泊を決めました。

ツアー参加の朝

昨晩は、エイラットからバスでエルサレム入りし、シャバットで穏やかなエルサレムの夜を歩いてホステルに到着。

ツアーに備えて早めに就寝。

6:30に朝食を頂きにキッチンへ向かいます。

さすがに、Hi Eilat Hostelのリッチな朝食と比べると見劣りするけど、そもそも価格が違います。

ホステルの朝食としては、許容できる内容でした。

しっかり栄養補給をし、一度部屋へ戻り身支度を整え、集合時間の15分前にロビーへ降りて行きました。

ロビーでは、スタッフに名前を伝えると名簿にチェックを入れ、「その辺で待ってて」と言われました。

水を持っていない事に気付いて、フロントで購入。少し高めです。

この時は、夜到着して周囲が全く分からない状態だったから仕方ないけど、ホステルの同じビルに商店があり、そこで水を買うと安いです。

8時丁度にガイドがきて、軽く自己紹介。今回は23名の大グループ。

こんなに大人数での団体行動、何年振りかしら…。

エルサレムからヘブロンへのアクセス

ホステルの裏側が、トラムの停留所となっています。

本来は、そこからトラムでエルサレムのcentral bus stationに行く予定だったけど、トラブルがあったらしく、トラムが暫く動かないそうです。

仕方ないので少し速足で歩く事になりました。

23人の大人の集団が、それなりの速足でJaffa st.を闊歩しています。

若干異様な光景です。

ヘブロンは、エルサレムから南に下った所にあるパレスチナ自治区。

CBSから普通の公共バス(egged bus)でヘブロンまで行きます。

車内の様子。

8:40 ヘブロンへ向けて出発。NIS 8.1

日曜日 エルサレムの朝9時頃。絶賛渋滞中!

ここは、既にウエストバンクに入っているのだけど、尋常じゃない渋滞です。

到着が遅れます。

10:20 ようやく到着。

このバス、路線バスなのだけど、bullet-proof settler busなんです。

確かにカクカクしている感じですが、あの窓も防弾ガラスなんでしょうか。

街歩きを始める前に

ヘブロンの H1 H2とは…

パレスチナ自治区、Hebron以外のWest Bank(ヨルダン川西岸地区)は

  • Area A:パレスチナ自治政府の完全自治
  • Area B:行政はパレスチナが、治安はイスラエルと共同で管理する不完全自治区
  • Area C:イスラエルが行政も治安も支配する地域

に分けられているそうです。

1997年のヘブロン合意によって、パレスチナ自治区に追加されたヘブロンでは、

  • H1:パレスチナ系住民のみが住む完全自治区域 (≒Area A)
  • H2:ユダヤ系とパレスチナ系が住む地域で、イスラエルが支配する区域 (≒Area B+C)

に分離されています。

約80%の範囲がH1に指定されているのですが、旧市街を含むヘブロンの中心部はH2になっています。

バスはH2 へ到着しました。

バス下車後はトイレ休憩

H2のバス停で下車したら、まずはトイレ休憩に向かいます。

Hebron Heritage Center

いきなりお土産屋さんだけど、ここでトイレをお借りします。

トイレ利用後、土産物エリアをウロウロしてみんなの所に戻ってくると、どういうワケか私以外のほぼ全員が並んでまでして何かをオーダしています。

ツアーがやっと始まったばかりなのに、みんなそんなにコーヒー飲みたいの?

と疑問に思っていました。

後に分かった事だけど、「トイレを使う変わりに、何か買ってね」という事だった様です。

ガイドの説明を理解できていませんでした。お恥ずかしい…。

アラブ人ガイドによる旧市街観光

Heritage Centerを出てすぐある所で、私達ゲスト23名は、ホステルからここまで連れて来てくれたユダヤ人ガイドからアラブ人ガイドに託されました。

Cave of the Patriarchs (=Tomb of the Patriarches = cave of Machpelah =Ibrahim Mosque = Mosque of Abraham = 総主教の洞窟 = マクペラの洞窟 ) を横目で見ながら通り過ぎます。

何故に???ここ、観に行かなきゃいけないんじゃない?

不思議に思いながらも、先に進みます。

彼がアラブ人ガイド。

顔を忘れても困らない様に、まず写真を撮ります。

すかさずガイド本人と兵士2名に「撮るな!」と言われました。

口調が強かったので「怖っ…」と思ったのだけど、理由があります。

ここがチェックポイントだったからです。

ごめんなさい…

Ibrahim Mosque

チェックポイントを通過した所。

正面に見えるのが目的地の入口。

こじんまりしているけど、これが総主教の洞窟、イスラム教徒にとってのイブラヒム・モスクの入口です。

(外国人)女性は、肌が見えていなくても、髪の毛をスカーフで隠していても貸し出しのガウンを羽織る必要があります。

恐らく、身体の線が出ているとアウト!という事なのでしょう。

中は、イスラミック・カラーのグリーンとメスキータの白とレンガ色のボーダー柄の世界。

過度に煌びやかでない所にイスラム文化を感じます。

この四角い構造物、これがお墓なのでしょうか。

モスクなので、祭壇もあります。

出口もこじんまりしています。

とても、イスラム教の祖が眠る聖地とは想像できないサイズ感です。

モスクの敷地を出ます。

ヘブロン旧市街観光

チェックポイントを通ります。

道には店が並び、賑やかです。

癒し系写真も載せておきます。

公園にあるカフェに連れて来られ、ここでお茶しながら休憩…ではなく、ディスカッションです。

アラブ人ガイドが、パレスチナの歴史、H2での生活について話を始めました。

一通り終わると、何か意見がある人?質問は?と募ると、出るわ出るわ挙手の嵐。

みんな、歴史に詳しいし、ちゃんと勉強しているんだなぁ…。

無知で英語の理解力も乏しい私は、なかなかついて行けません。

一瞬話が途切れた所で、ガイドが自分のパスポートを見せてくれました。

タイトルの「Palestinian Authority」とは、「パレスチナ自治政府」の意。

観光客に見せる為に持ち歩いているのではなく、チェックポイントを通る時はもちろんの事、H2住人のガイドは、生活の中でイスラエル兵に要求されると提示しないといけないので、常に持ち歩いているそうです。

これで話は終わりで次に進むのか、と期待していたのに、席を立った状態でまたディスカッションが始まりました。

こういうツアーに参加する人って、意識高いんだなぁと感心していたら、後で分かりました。

私は、このツアーのゲストはこの問題の当事者ではない、自分と同じくイスラム教徒でもユダヤ教徒でも無いと思い込んでいました。

ですが、ツアーの最後に話しかけてくれた人は、カナダに住んでいるユダヤ人だと言っていました。

なるほど、そういう事なのね。そりゃぁ、話も白熱するでしょう。

待ってました!次へ進みましょう。

街歩き再開です。

ここH2には、アラブ人とユダヤ人(イスラエル人)が住んでいます。

元よりアラブ人が商売をしていた所に、イスラエル人が入植して住みだしています。

この建物の上の階にはイスラエル人が住んでいて、その住人が商売をしているパレスチナ人に向けて生ごみ等を投げつけているらしい。

そのゴミを受ける為に、ネットが張られている、とパレスチナ人は言います。

縫製店の店主。ミシン台に向かって座っていた所を撮りたくて「写真撮ってもいいですか?」と聞くと、わざわざ立ち上がってくれた。

この年齢のイスラム教徒の方々は、写真を撮られる事を嫌う人が多いけど、こうして応じてくれるのは、世界遺産登録と関係あるのかな?なんて勘繰ってしまいます。

シンプルな素焼き陶器の商店

H2での生活の不自由さ、歴史についてお話をするおじいさん。

このツアー紹介ビデオにも登場している方です。

穏やかな口調で優しい笑みさえ浮かべながらお話します。

それに何だか違和感?こなれた感?を覚える私って、ひねくれている?

カナーフェ屋さん。

この時は、このスイーツの事を知らなかったけど、ほんのりチーズ味で美味しいです。

のどかな午後のひと時。

ここの子供達は、観光客に付きまとう事なく、騒ぎ立てる事なく、ホントいい子達ばかりです。

観光客の嫌がる事をしないでいるので、やはり、世界遺産登録に向けてしっかりと教育されていたのかな、と感じました。

初めてアラブ女性のグループを見ました。

ローカルの人ではなく、この人達も観光客かもしれませんが…。

ここの金網には、多くの生活ごみが捨てられています。

ヘブロンは、情報も無いし何を観たら良いのか分からないし、安全面での懸念もあってツアー参加にしたけど、街中にはサインがあちこちにあり、旧市街内は歩きやすいです。

チェックポイントです。

観光客は特に問題無く通過できます。

出てきました。

同じH2エリアだけど、旧市街から出たらよりイスラエル色が強くなります。

この後、ランチタイムですが、長くなったので、ここでいったん区切ります。

けん

ここまでお付き合い頂き、有難うございました!