2014年と2018年にペトラ遺跡を訪れたのですが、たった4年の間で遺跡環境は激変していました。
「激変のペトラ遺跡」シリーズでは、まだまだ自由に観光できる範囲が広かった2014年時の写真でペトラ遺跡を紹介します。
前編では、チケット購入から迫力あるシークを通り、ヨルダン旅行最大の目的、エル・ハズネの景色を楽しみました。
しかしペトラ遺跡において、エル・ハズネは入口に過ぎません。
この記事では、どんどん奥に進んでい行き、広大なペトラを更に楽しみます。
ファサード通り
エル・ハズネを通り過ぎ、アウターシークの広い通りを進むと、隣接する南の崖面に、ナバタイの岩窟墓が並んで彫り込まれているのを目にします。
ここが、ファサード通りです。
- 建築物を正面から見た外観
- 建築物の内部以上に外観を重要視し、装飾する事が多い
- 一般的に玄関面を指すが、同様に装飾された側面もファサードと呼ぶ
ここに並ぶ岩窟墓の頭頂部は、両端の階段状装飾、付け柱(装飾用の柱)、カベット(表面の装飾)で装飾されています。
ナバタイ人は、死者の魂がこの階段を伝って天国へ登ると信じていたそうです。
一番左の67号墓(黄矢印)は、墓の採掘の際に職人が用いた工具を収蔵していたと思われる開口部分を上部に持つのが特徴的です。
また、ファサードの下部に目をやると、入口より地面が高くなっている事に気付きます。
これは、ビサンチン時代の水路建設により、この入口が閉鎖されたと言われています。
少し進んで振り返った所の景色です。凄いスケールですね!
こちらから見ると、この崖面には4つのファサードが存在するのが分かります。(最奥が67番墓)
更に進みます
この辺りに見える岩窟墓は、シンプルないでたちです。
見事なファサードを誇る大きな岩窟墓は、要人の墓で、こういったシンプルな墓は一般人の墓だそうです。
写真中の黄矢印は、犠牲祭壇へ向かう階段です。
更に進むと、ローマ円形劇場が左手に見えてきます。
犠牲祭壇と円形劇場は、別記事でご紹介します。
見事なマーブルにうっとり
ローマ円形劇場を超えた辺りで右手に目をやると、見事なマーブルの地層を見つけました。
ここは、私が思う最も美しくツヤのあるマーブルを呈する風穴です。
2018年に訪れた際、ここを探したのだけど見つけられませんでした。
理由は
- アクセスを規制された
- 土産物屋に変わってしまった
- 風化による変化(ここまでの美しさが維持できず、気付かなかった)
こんな所でしょうか。
この猫脚よ!
いつ崩れるのか、ドキドキですが、この猫脚は2018年にも健在でした。
ペトラのトイレをご紹介
メインロード(ファサード通り)の円形劇場を超えて少し行った右手に、トイレがあります。
この様に美しい円形の木製の壁面で、ペトラの岩窟の中でも浮かない工夫がされています。
中に入って更にビックリ!
洋式の水洗トイレ、床はモルタルで固められ、壁は白タイルと清潔感があります。
そこに、ペトラの地層がこんなに迫っていて、ちょっとドキドキです。
トイレットペーパは設置されていた気がしますが、記憶に自信ありません。
手洗い水道の数も十分あり、大きな鏡もあります。
これだけ清潔に管理されたトイレですが、無料で利用できます。
さすが、高額の入場料を取っているだけあります。
因みに、レストランBasin前とペトラ教会前にもトイレがありました。
柱廊通り
列柱
トイレを通り過ぎ、更に進むと今までとは趣が違う列柱が見えてきます。
ナバタイ人の通路をAC106年に、ローマ帝国が大改修して造られたそうです。
更に進むと、左手にある大きな建物が見えてきます。大神殿です。
大神殿
大神殿への階段(青矢印)を登ります。
大神殿は、ペトラの中心部における代表的な建造物の一つで、広さおよそ7000㎡もあるそうです。
ちなみに、2014年は自由に行き来できた大神殿ですが、2018年は、柱廊通りから見上げるのみで、入れなくなっていました。
2014年の時点でも、7000㎡の神殿のうち、手前のごく一部だけで入れましたが、それでも貴重な体験です。
この人、お祈りをしているのではなく、大神殿への階段を登り切った所で、土産物のアクセサリーを広げていました。
階段を登り切った上は、この様になっています。
奥に広がるのが、大神殿です。
行ってみましょう。
大神殿では、私達が「ギャートルズのお金」と呼んでいた円柱の輪切りがゴロゴロしていました。
今となっては、よくこんな所に観光客を自由に入れていたな、と思います。
カルス・アル・ビント
アラビア語で「古代エジプト ファラオ(王)の娘の宮殿」の意。
この建造物は、ナバタイの主神ドゥシャラに捧げられた、ペトラにおいて最重要神殿だそうです。
ここも、2018年には入る事ができませんでした。
というか、2014年時点でもいつ崩れてもおかしくない雰囲気で、階段を登るのもビクビクでした。
ほぼ直方体の建造物で、23mの高さでそびえています。
正面(この写真では側面)の壁面に横一本の線が入っていますが、これはレンガの間に木板を入れてクッション代わりにしていたそうです。
さっきとは反対側(大神殿側)の壁面は、まだ保存状態が良かったです。
この様な彫刻も、しっかり残っています。
カルス・アル・ビントの中から、崩れそうなアーチを介して観た外の景色。
外見からは想像もできない程、良好な保存状態の階段。
それでも、ビクビクしながら登って行きました。
カルス・アル・ビントからメインロードを見下ろした景色。
奥に見える木製の建造物は、レストランBasin前のトイレです。
ファサード通りから柱廊街道の建造物を紹介しました。
この記事で紹介した建造物は、あまり馴染みのないものばかりだったと思います。
しかし、実際目にするとスケールの大きさと美しさにいちいち感動します。
この辺りはアクセスが容易で、坂道もなく、ツアーでも必ず訪れる場所です。
残念ながら、今からでは中に入れない所がほとんどですが、2014年当時の貴重な写真と共に紹介しました。
次の記事では、いよいよ山を一つ越えてエド・ディル(修道院)を目指します。
ここまでお付き合い頂き、有難うございました!