こちらの記事では、道が整備されているメインロードだけでなく、各種トレイルも歩きたい方へ向けての内容となっています。
エル•ハズネからエド•ディルまで、メインロードの往復だけなら半日〜1日で回れるし、お勧めはしませんが、スポーツサンダル+短パン等の軽装で歩いている方も見受けられます。
とりあえず有名所だけ、と考えている方には肩透かしな内容と感じられるかもしれませんが、トラブル時には参考になる部分があると思います。
ということで、ペトラ遺跡へ向かう方は是非ご一読ください。
ペトラ遺跡ってどんな所?
中東の国の一つ、ヨルダンの死海とアカバ湾(紅海)の間に位置します。
約2000年前、乳香や香辛料等の貿易で栄えたナバタイ王国の首都としてペトラは歴史の舞台に登場します。
シャラ山地に建てられた広大なペトラ遺跡は、1985年にユネスコ世界遺産(文化遺産)へ登録、2007年には新・世界七不思議に選出されています。
日本人の私達にとって、歴史よりも映画「インディージョーンズ」でその存在を知った方は多いと思います。
↓の記事では、ペトラ遺跡について詳しく綴っています。
ペトラ遺跡の代表格、エル・ハズネです。
遺跡公園のゲートから、約40-50分歩いた所にあります。
エル・ハズネからはゆっくり歩いて約120分、山一つ越えた所にあります。
日本からツアーでペトラ遺跡を訪れる場合、エル・ハズネだけで終わったり、半日かけてエド・ディルまでの往復というものがほとんどです。
でも、広大なペトラ遺跡の魅力はこれだけではありません。
この記事では、個人旅行でペトラ遺跡を丸1日以上ガッツリ楽しもうという方に向けた、遺跡に入る前の準備編です。
2014年4月中旬と2018年4月下旬の2回、二日券と三日券でペトラ遺跡をたっぷり楽しんだ私の経験から、遺跡に入る前にこんな準備をしていると、遺跡内で安心して楽しめるな、と思った事を綴っていきます。
気候に対する準備
どの時期に行くかによって、持ち物は変わりますが、初夏を想定してお伝えします。
- 薄手のダウンジャケット
- 風通しの良い長袖シャツ & 日焼け止めクリーム
- デニム等の綿パン(ロング)
- 軽くて防水のウインドブレーカー
- 帽子 and/or スカーフ
- サングラス
- タオル
- 歩き慣れたスニーカー (お気に入りの靴はダメ!)
冬に観光する方はこれらに加え、ご自身で必要な防寒具を用意されると良いでしょう。
薄手のダウンジャケット
多くの方が、夏にダウンジャケット?!と思われるでしょう。
でもこれは、私が心底「持ってて良かった~」と思ったアイテムです。
2014年4月は、朝8時頃から遺跡入口へ向かったのだけど、朝は結構寒いです。
ユニクロのライトダウンを羽織ってチケットブースに並んでいました。
そして2018年4月は、まさかの砂漠で豪雨です。
2018年11月の「ペトラで鉄砲水&土石流」のニュースは日本でも連日報道されていましたが、ここ数年はこの様な異常気象が続いています。
同年4月、私も雹(ひょう)を伴った集中豪雨に遭遇しました。
この時私は偶然出会ったローカルのベドウィン(地元の人)の案内で、エド・ディル前のカフェで雨宿りしていました。
雨に濡れる事は無かったのだけど、気温がどんどん低下しました。
カバンの中に入っていた服を全部着込み、ユニクロのライトダウンを羽織り、カフェの毛布にくるまって過ごしました。
遺跡観光中は、雨宿りができる場所が回りにあるとは限りません。
コンパクトに丸められて軽く、保温性が高いユニクロのライトダウンの様な防寒具をD-バックに入れておく事を、強くお勧めします。
風通しの良い長袖シャツ & 日焼け止めクリーム
砂漠の夏、昼間は当然とんでもなく暑いです。
そして、ほとんど日陰がありません。
直射日光に当たると、ジリジリというか、ヒリヒリと肌が痛くなります。
日焼け=肌が黒くなる だけでなく 日焼け=火傷 である事を覚えておいて下さい。
できるだけ肌が直射日光に当たらない様にする事が、長時間の遺跡観光には必要です。
風通しの良い長袖シャツを羽織ると、T-シャツだけの時より涼しく感じます。
あと、遺跡観光中はかなり汗をかきます。
当然日焼け止めを塗っていても汗で流れてしまいます。
ついつい忘れがちですが、日焼け止めクリームも気付いたら何度でも塗り直しましょう。
デニム等の綿パン(ロング)
遺跡内は砂だらけで、靴を含め体中砂だらけになります。
動きやすく、汚れても簡単に洗える服装が必須です。
短パンで歩いている観光客もいますが、遺跡内では滑りやすい所や、崖の淵を歩く等、転んだりひっかいたりして怪我をしそうな場面が少なくありません。
遺跡内の猫等に不用意に近付いて、引っかかれたり嚙まれたりする事も考えられます。
日焼け・乾燥で通常より皮膚のバリア機能が弱っているので、脚もしっかり保護する為に、ロングのパンツをお勧めします。
軽くて防水のウインドブレーカー
先にも記載しましたが、ここ数年は異常気象で夏でも砂漠でも雨が降りやすいです。
雨が降って濡れると、一気に体温が下がるし、濡れなくても陽が陰ってくると、山の上は風が強くなったり気温が下がる事もあります。
防水のウインドブレーカーは、カッパ代わりに使えたりするので、鞄に入れておく事をお勧めします。
帽子 and/or スカーフ
頭と髪の毛を保護する為に、帽子やスカーフは必携です。
これがなければ、日射病へ一直線です。髪の毛も紫外線にやられてしまいます。
綿のスカーフをBedouin風に頭に巻くと、雰囲気も出て気分も上がります。
私は、帽子をかぶって首回りにスカーフを巻いて襟足~デコルテの日焼けを防いでいました。
サングラス
ここ数年で一般的になりましたが、眼からも日焼けしますよね。
日焼けすると疲労感も増すので、せっかくの観光を十分楽しめないかもしれません。
色の淡い、しっかり紫外線をカットするレンズのサングラスをご持参下さい。
因みに、普段コンタクトレンズをしている方は、眼鏡に変えるか、眼鏡を持参する事をお勧めします。
私もペトラ遺跡初日はコンタクトで挑んだのですが、風が吹く度に目に砂が入りそう(実際は少し入りました)でドキドキでした。
痛くてどうしようもない、までにはならなかったけど、翌日以降は眼鏡に変えて観光しました。
タオル
砂漠は乾燥しているので汗をかかない、という話を聞いた事がありますか?
実際は違います。
歩いていると、汗だくです。Dーバックを背負っている背中なんて、鞄まで汗が染みています。
顔というか、頭からも汗は滴ってきます。
タオルは必要です。
歩き慣れたスニーカー (お気に入りはダメ)
遺跡内では、本当によく歩きます。
足場の悪い所を歩く事もありますので、歩き慣れたスニーカーは必携です。
ただ、「お気に入り」のスニーカーは余りお勧めできません。
遺跡内を歩くと、身体だけでなく靴も砂だらけになります。
ペトラの砂はとっても細かい砂で、靴の縫い目の間から靴の中にまで入って来て、靴下も砂だらけになります。
ホテルに帰って靴をパタパタはたいても、無限に砂が出てきてキリがありません。
そんな「砂だらけの靴」は、ヨルダン国内で履くのは大丈夫だけど、飛行機に乗ってトランジット先の空港を歩く時はとても恥ずかしかったです。
帰国してから3回以上洗ったのだけど、結局砂汚れは残ったままとなりました。
私がヨルダン旅行に履いたこのスニーカー、元々ソール淵は真っ白でした。
写真では上手く表現できていないけど、実際はこんなクリーム色ではなく、レンガ色に染まっています。
お気に入りの靴が、この様な悲しい事にならない様、ペトラで履く靴は色々考えて選んで下さい。
飲食について
ランチ
ペトラ内には、レストランが2か所あります。
The Basin Restaurant
遺跡入口に一番近いホテル、ペトラゲストハウスホテルと同系列のレストラン。
ランチビュッフェ:12:00~16:00 飲み物別JD17.00(約2700円!)
Nabataean Tent Restaurant
上記the basinの道を挟んで向かい側にあります。
こちらは、地元のベドウィンが経営しているレストランで、同じくランチビュッフェですが、内容はよりシンプルなヨルダン料理となっています。
営業時間:10:00~15:30 ランチビュッフェ JD10、ランチボックス JD7
日本で申し込んだツアーだとBasinで、イスラエルやヨルダン国内で申し込んだツアーだとNabataean Tentでの食事がツアーに組み込まれている事が多いです。
他には、エド・ディル到着まであと5分!という辺りに小さなカフェ兼食堂があって、簡単な食事ができます。
個人旅行では、敢えて建物内(レストラン)で食事をする必要は無いな、と思っています。
私は合計5日間ペトラ遺跡に入り、内4回は朝から晩まで遺跡内で過ごしました。
その中で、一度もレストランでランチという事はありませんでした。
理由は、「遺跡観光中は暑さで食欲があまり湧かない」からです。
昼頃には、確かにお腹は空きます。
でも、レストランに入って高い料金を払ってビュッフェの食事をとる程の食欲はありませんでした。
なので、私はランチ用にバナナやオレンジ等の果物と朝食で出た6Pチーズ、あと日本から持参したカロリーメイトやSOY JOY、小袋に入ったスナック等鞄に入れ、適当な日陰を見つけて食べていました。
ある日のランチ会場。
日陰で風が吹き抜ける洞窟から、この景色を眺めながらのランチを楽しみました。
ここは、エド・ディル前の小さな洞窟。歩いている時に偶然見つけました。
既に何人もの人達がランチを楽しんでいたけど、丁度私一人分位のスペースが空いていました。
周りの人に「あそこで私もランチしていい?」と断って場所を確保しました。
実際の位置はこんな所です。
黄矢印の先端が、私に宛がわれたランチのスペース。
ここは、かなり特等席だったと思うけど、こんな所でなくても、自分で何か持ち込んでいると好きな所で自由にランチを楽しめます。
旅人の中には、宿でランチボックスを用意して貰ってそれを持ち込んでいる人も居ます。
壮大な景色を眺めながらのランチは、とても気持ち良いですよ。
注意!:食べ物は高温の中で持ち歩くので、食中毒の危険があります。自己責任でお願いします。
食事は軽めだけど、休憩を兼ねてカフェでのお茶やジュースは頻繁に戴きました。
ヨルダンのチャイ(紅茶)は、一般的には極甘です。
しかし、ペトラ遺跡のベドウインは観光客に慣れているので、チャイと言ってもほんのり甘い位だったり、「砂糖抜きで」とリクエストすると、ストレートティーを用意してくれる時もありました。
あと、ヨルダンではレモンと大量のミントの葉をジューサーに入れて作る「レモン・ミントジュース」を外す事はできません。
遺跡内を歩き疲れた身体に、ビタミンCたっぷりのこのジュースは本当に美味しいです。
エド・ディル正面のカフェでは、いつもオーダーしていました。
水
飲料水は、多すぎるやろ!と思う位持って行って下さい。
私は、D-バックのポケットに500mlのペットボトル、そしてD-バックの中には1.5Lのペットボトルを入れてホテルを出ました。
それでも遺跡内で水を購入する必要があります。当然、観光地価格です。
遺跡内のメインロードを歩いている間は、あちこちに売店があるので水は簡単に購入できるけど、メインロードを外れてトレイルに入ると、ほぼ水は手に入りません。
鞄に入れて歩くのは重いけど、多めの水を確保しておく事をお勧めします。
遭難した時の為に「ペンライト」
あまり無茶をしないで安全第一に。
始めはそう思うのです。
でも、周りに他の観光客が居たり、個人旅行だけど友達と一緒だったりすると、ちょっと冒険してみたくなる気になります。
ペトラ遺跡はとてつもなく広く、数多くのトレイルがあります。
遺跡内には簡単な標識が立っていますが、老朽化して倒れかけていたり、文字が消えかかっていたり、どっちの方向を示しているのか分からない様なものもあります。
私も友人と二人でワディ・ファラサ・トレイルに挑戦している際、途中でどっちへ向かえば良いのか分からなくなりました。
その時は、先に行っている観光客を目指して歩いたのだけど、その観光客達も道に迷っていた、という事がありました。
どこを見渡しても同じ景色で、本当に自分達がどこに居るのか分からずプチ遭難状態でした。
しかし、私達が「道に迷っているだろう」と心配してくれた、一人旅の観光客が、わざわざメインロードから戻って来て救ってくれました。
こんなラッキーな事、そうそうありません。
大前提で、無理はしない。自信がなければガイドを雇う。
自分の安全を確保する手段はいくらでもあります。
しかし、それでも道に迷ってしてしまった、陽も傾いてきたという時には、ペンライトを利用します。
Petra Development &Tourism Authority の Directorate of Tourism And Marketing(観光・マーケティング局)が発行する地図兼リーフレットには、以下の様に記載されています。
まずは落ち着いて、今どの辺りに居るのかを判断する様にして下さい。
大声・笛・懐中電灯・カメラのフラッシュ等で、同じ合図を続けて4回送る事は、遭難信号になります。
スマホのフラッシュライトも使えるけど、極力スマホ電源は確保しておきたいので、小さめのペンライトを持って行くと、この様な際に利用できます。
チケットは、現金での購入がお勧め
私は普段、クレジットカード払いを好みます。
多額の紙幣や小銭をジャラジャラ持ち歩きたくないし、支払いが簡単でポイントも貯まるからです。
でも、ペトラ遺跡のチケットオフィスでは、クレジットカードを使わない事をお勧めします。
ここでカード払いを選択すると、ヨルダン・ディナールでの決済ではなく、勝手に日本円に換算された決済になります。
3日券を購入すると、レシートにyen10000と記載されていました。現金払いでJD60(約9300円)の所を。
現金の両替には数パーセントのコミッションが含まますが、それを遥かに超えるコミッションをこのオフィスは取っています。
因みに、同じカードをホテルや別の店で利用しても、決済はヨルダン・ディナールで行われ、余計なコミッションを取られる事はありませんでした。
リーフレットを手に入れましょう
チケットオフィスには、各国語で記載された地図兼リーフレットが用意されています。
英語ももちろんありますが、日本語も用意されています。
チケット購入時に渡されるのではなく、自分で取るものなので、忘れずに入手しておきましょう。
簡単な地図と解説が1枚物の印刷物にまとめられています。
地図と言っても、トレイルに利用できる程の詳細なものではありません。
しかし、利用できる場面は色々あります。
自分が行きたい場所を示すのに、このリーフレットを利用すると、現地のベドウィンは日本語が読めなくてもその地図に書いている事を知っているので、意思疎通がしやすくなります。
ペトラ観光の準備についてお伝えしました。
2014年と2018年のペトラ遺跡訪問経験から、事前に準備すると良いなと思う事をお伝えしました。
予定より荷物が増えた、という声が聴こえてきそうですが、この記事に記載したものは、実際に私が観光中に使ったものだったり、持っていて良かった、と思うものです。
この記事を参考にして、ご自分流にアレンジして準備して頂くのが一番だと思います。
いろんな場面を想定して準備し、事故なく安全なペトラ遺跡観光を楽しんで来て下さい。
ここまでお付き合い頂き、有難うございました!