世界一周特典航空券で巡る南米旅⑭ サグラダ・ファミリア教会博物館 & 夜景で見えてくるもの

これまでサグラダ・ファミリア関連で6記事続きましたが、今回で最終となります。
地下にあるサグラダ・ファミリア教会博物館の興味深い展示物をご紹介します。
その後、同日夜に訪れた「逆さサグラダ・ファミリア」が撮影されるハズだった夜景(それでもキレイ!)を披露します。
この夜景ですが、昼間には気が付かなかったシークレットが写っていたのです。
最後までお楽しみください。
博物館の場所
聖堂内の見学を終え、「生誕のファサード出入口」・「受難のファサード出入口」どちらからもアクセス可能です。
聖堂を出てすぐに左右を見れば、「Museum」とサインが出ていますので、見逃さないでください。
重要なのは、サグラダ・ファミリアの敷地を出てしまうと入れないので、分からなければスタッフに聞きましょう。
では、展示物を紹介します。
博物館の展示物
ガウディ建築唯一の海外展示


ジョセップ・マリア・ジュジョールによる多色彩色が施された「生誕のファサード」
1910年 修復および多色彩色が施されたオリジナル模型 縮尺 1:25
1910年、この模型はパリのグラン・パレで開催された国民美術協会(ソシエテ・ナショナル・デ・ボザール)の展覧会で展示されました。 この展覧会のために、ガウディは親密な協力者であったジョセップ・マリア・ジュジョールに多色彩色の作業を依頼しました。ガウディの生涯において、彼の作品が海外で展示されたのはこれが最初で最後のことです。この展覧会は、ガウディを称賛し、彼の革新的な建築思想を世界に広めたいと考えたフランスの歴史家や批評家のグループによって企画されました。
こちらは、海外では無名であったガウディの作品を初めてパリの展覧会で展示する為に制作された模型です。
後にも先にも、ガウディ作品が海外で展示されることは無かったので、貴重な模型です。
代表的な塔の頂部

左側の4基は、4人の福音書記者の塔。
左側から
| 福音書記者名 | 象徴 | テキスト | |
| マタイの塔 | Mateu/Matthew | 羽を纏った天使(人) | Mt |
| マルコの塔 | Marc/Mark | 羽を纏った獅子(ライオン) | Mc |
| ルカの塔 | Lluc/Luke | 羽を纏った雄牛(ブル) | Lc |
| ヨハネの塔 | Joan/John | 羽を纏った鷹(イーグル) | Jn |
右の2基は、マリアの塔と、今年完成したイエスの塔。
頂部がしっかり観察できます。
12使徒の塔

ピナクル(尖塔)の解説とガウディの言葉
ピナクル(尖塔)。
それぞれの塔の頂上にはピナクルが冠されており、ベネチアングラスのモザイクによる多色彩色(ポリクロミー)の色彩と、ガウディが用いた幾何学的形状(球体、八面体、立方体、三角錐)によってひときわ目を引きます。塔のピナクルは、司教を象徴する4つの印(司教冠、十字架、牧杖、指輪)を模しています。
「頂上を見てごらん……! まるで天と地を結びつけているように見えないかい?」
アントニ・ガウディ
写真左下、3つの模型について解説されています。
3つの幾何学的形状:立方体、八面体、そして球体を重ね合わせることで生まれた、双晶(結晶の結合)のような形)
こちらは、ガウディがこの複雑な尖塔をデザインする際、「単純な幾何学形状を組み合わせて作った」ことを証明する展示です。


「ピナクル(尖塔)」の模型
先程の解説内容を、こちらの石膏模型で360°実際に体感することができます。
尖塔のデザイン

鉱物の結晶から得たインスピレーション
ガウディは、方鉛鉱(ガレナ)や黄鉄鉱(パイライト)といった実際の鉱物の結晶構造を熱心に研究し、その幾何学的な形(立方体や八面体が複雑に組み合わさった形)をそのままデザインに応用しました。手前のガラスケースの中に本物の鉱物結晶が展示されています。
季節の果物
このピナクルは、「果物のバスケット」をモチーフにしています。リンゴ・イチジク・モモ・ビワ・ザクロ・サクランボ ・ブドウ・麦・柿・栗などが使われ、生誕のファサード側には春の果物、受難のファサード側には空きの果物が配置されています。
カラフルな色は、ベネチアンガラスのモザイクで表現されています。

地下聖堂の燭台

地下聖堂(クリプタ)の燭台(テネブラリオ)
ガウディが1898年頃にデザインした、サグラダ・ファミリアの「地下聖堂(クリプタ)の燭台(テネブラリオ)」です。
ガウディの卓越した「鍛鉄(ロートアイアン)技術」が光る、非常に美しく荘厳な礼拝用の器具(燭台)です。
テネブレ(暗闇の勤行)の燭台
これはキリスト教の聖週間の儀式「テネブレ(暗闇の勤行)」などで使われる特別な燭台(テネブラリオ)の一種で、儀式の進行とともに蝋燭の火を一つずつ消していき、最後に残った1つの光でキリストを象徴するという、非常に深い精神性を持った宗教器具です。
背後の壁に美しく浮かび上がる「影」まで計算されているかのような見事な造形で、ガウディが建築だけでなく、内部のインテリアや家具調度品に至るまでトータルで空間をデザインしていたことがよく分かる名作です。
「逆吊り模型」の再現展示

逆吊り模型(カテナリー模型 / フニクラ模型)
元々はサグラダ・ファミリアの未完の姉妹プロジェクト「コロニア・グエル教会」の設計のために作られたシステムを再現したものです。
ガウディは、紐(ひも)や鎖の両端を固定してだらんと垂らしたときにできる自然なタルミの曲線(カテナリー曲線)に着目しました。
この垂れ下がった状態は、重力によって「引っ張られる力(引張応力)」だけで均等にバランスが取れています。
ガウディは「この形をそっくりそのまま上下逆さまにひっくり返せば、今度は上からの重さに最も耐えられる、柱やアーチの完璧な形(圧縮応力に強い構造)になる」と考えたのです。
紐にたくさんぶら下がっている小さな袋には、細かく計算された重さの「砂」や「散弾(おもり)」が入っています。
これは、将来実際に建てられる教会の天井や壁、屋根の「実際の重量」を縮尺に合わせてシミュレーションしたものです。
重い屋根が乗る部分には重い袋を吊るし、それによって紐の描くカーブが自然に変形していくことで、コンピューターのない時代に「絶対に崩れない究極の構造」を自動的に導き出しました。
2Dの図面ではなく、重力という自然の法則そのものを味方につけて3Dで構造を計算した、ガウディの「天才」を肌で感じられるサグラダ・ファミリア博物館のハイライトの一つです。
ガウディのお墓(スクリーン展示)とデスマスク

カルメンの聖母礼拝堂を実物大(1:1)でスクリーン展示
写真でみると、実際そこに存在するかに見えるが、これは、地下聖堂の中の礼拝堂の一つ「カルメン聖母礼拝堂」の一角を実物大でスクリーン展示しているものです。
床に平らに置かれた四角い墓碑の下に、ガウディ本人の遺体が埋葬されています。墓碑の周りにはいつも、彼を慕う人々が捧げた赤いキャンドルが灯ります。
実際の礼拝堂も博物館の足元にある小窓から覗けるが、正面からは見えないので、こちらの展示が行われています。
ガウディのデスマスク
カルメン聖母礼拝堂の隣に並んで展示されている像は、彫刻家ジョアン・マタマラ作のガウディのデスマスクです。
これら2点を同じ視界に収めることで、ガウディという稀代の建築家への敬意と追悼の意をより深く感じられる展示構成になっています。
ガウディの模型工房(石膏工房)
遅い時間に訪れたためか、作業をしている人は居なかったが、工房の一角を見ることができます。

イエスの塔、マリアの塔、そして4人の福音書書記官の塔の模型がありました。
サグラダ・ファミリアの「完成予想模型」

3つのファサード(生誕・受難・栄光)や、最終的に配置される全18本の塔がすべて揃った「最終的な完成形」をブロンズ(青銅)で縮小再現したものです。
視覚障害者の方が実際に手で触れて、複雑なサグラダ・ファミリア全体の構造や高低差を立体的に把握できるように作られた「触る模型」でもあります。
どうしてこのアングルで撮影したんだろう… 栄光のファサード側がどうなってるのか気になって仕方ない!
サグラダ・ファミリア閉門時の景色

入場時は生誕のファサード側から入ったけど、出る時は受難のファサード側から出ました。
閉門時間の19:00ごろの様子です。3月初旬なので、すっかり夜です。
約4時間の滞在で疲れ切り、この後は路線バスに乗って宿まで帰ることにしました。

google mapでバス路線もバス停の場所も表示されるので、簡単に利用できます。


利用には、こちらのT-mobilitatカード(バルセロナの交通系カード)を使いましたが、クレカのタッチ決済にも対応しています。
宿で休憩がてら軽くお腹に入れ、体力復活してから再度サグラダ・ファミリアの夜景を観るべく、出かけました。
夜景の定番!Gaudi Square
ガウディ広場、Placa de Gaudiなどとも呼ばれるサグラダ・ファミリアの前にある公園です。
池があって、条件が揃えば美しい「逆さサグラダ・ファミリア」を楽しめます。

う〜ん、残念!日中と同じく風が強く、水面が揺れてしまっています。
せっかく見事にライトアップされているのに…

マリアの塔先端のブルーの星が一際目を引く美しさ。
このあと30分ほど粘ってみたけど、ずっと風が吹いていました。

寒いし、風も止みそうにないので、諦めました。
サグラダ・ファミリアの周りをチラっと観てから宿に帰ろう、と歩き出しました。
この決断が大正解!
昼間は気づかなかった発見がありました。
サグラダ・ファミリア周辺を散歩

ガウディ広場を出たところ。
すぐ地下鉄の出入口があります。
宿が近くなくても、簡単にアクセスできるので、安全に配慮して是非夜景を楽しみに行かれることをお勧めします。
栄光のファサード

栄光のファサードは、絶賛工事中。
この様に全く見えなくなっています。
壁面はいたってシンプル。今後他のファサードの様に彫刻が加えられるのでしょうか?
完成が楽しみです。
受難のファサード

栄光のファサードから受難のファサード方面に歩いてきました。
受難のファサード彫刻の上部、骨をイメージした彫刻部分が本当に骨に見える。

燃えるように美しい聖堂のオレンジのステンドグラスが見えます。
屋根の上にはフルーツバスケットが冠されています。
手前下の波打つ様な三角の屋根は、聖堂の周りをぐるりと囲んでいる「回廊(Claustre)」の屋根です。

12使徒の塔と、4人の福音書記者の塔、背後にイエスの塔がみられます。

受難のファサード正面
夜間でも彫刻群がはっきり見えるライトニングです。
その上に目を向けると…
ん?昼間というか、サグラダ・ファミリアの中からでは見えていないものが見えています。

キリスト教のシンボルの真下と、十字架の真下に人物彫刻がはっきり見えます。

水色円(ペディメント柱廊内の彫刻群)の解説
空の墓(空になったイエスの墓)と復活の告げ
安息日の翌朝、イエスの遺体に油を塗るために墓を訪れた聖女たち(マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメ)と、墓を覆っていた丸い石の上に座る天使が描かれています。
天使が「イエスはここに居られない、蘇られた」と聖女たちに告げている、キリストの復活の瞬間を表現した場面です。
赤色円(大十字架の足元の彫刻群)の解説
十字架を称える天使たち
ここには3体の天使が刻まれており、1体は十字架を愛おしそうに撫で、1体はひざまずいて祈り(崇拝)、もう1体はイエスの聖血を受ける杯(カリス)を掲げています。
苦難の死(下の磔刑)を経て、「死に対する勝利の象徴」となった十字架を天上の天使たちが称えている場面です。

直下の「磔刑(十字架にかけられたイエス)」から視線を上へ動かすにつれて、水色円(復活) → 赤色円(勝利と栄光) → さらにその上(金の復活のキリスト像)へとストーリーが展開していく構成になっています。

ペディメントの両端にも、昼間は気づかなかった彫刻がみられます。
左側(青色円)の解説
ユダのライオン(The Lion of Judah)
「死に対する勝利」および「王としてのキリスト」
- 獅子(ライオン)の彫刻
- 旧約聖書の『創世記』で、創始者ヤコブが息子のユダを「獅子」に例えて祝福したことに由来します。
- 新約聖書の『ヨハネの黙示録』では、キリストが「ユダ族のライオン」「ダビデの根」と呼ばれており、受難と死を乗り越えて打ち勝った力強い勝利者・王としてのイエス・キリストを象徴しています。
右側(橙色円)の解説
アブラハムの羊(The Lamb of Abraham)
「人類の罪のための自己犠牲」
- 羊(雄羊/神の羊)の彫刻
- 旧約聖書の『創世記』で、神への忠誠を試されたアブラハムが息子イサクを捧げようとした際、代わりに神から与えられた「茂みに角を引っかけていた雄羊(贖いの生贄)」に由来します。
- 新約聖書では、世の罪を取り除くために自ら生贄(十字架の死)となったイエス・キリストを「神の羊(Agnus Dei)」に重ね合わせています。
サグラダ・ファミリア内からでは近すぎて角度的に見えない彫刻群だったが、思い立った散歩のおかげで見逃さずに済みました。

こちらの写真では、ライオンの彫刻がしっかり見えます。
回廊が続き、円形ドームのアシシの聖フランシスコの小堂が見えてきました。

近すぎて首がつらいけど、この距離でサグラダ・ファミリアを楽しみながらお茶もできます。

受難のファサード側面には、こんなに鋭く細かな尖塔が無数に見られます。
生誕のファサード

生誕のファサードの彫刻群が見えてきました。

正面からのview
生誕のファサードは、夜に見るとちょっとおどろおどろしい、というか昼間とは印象がかなり変わります。

厳かな雰囲気はより強調されるけど、生誕のファサードの彫刻群は陽の光を浴びて明るく照らされている方がいいな、と個人的に思いました。

生命の樹は、唯一昼間の雰囲気と同じでした。

こちらは、青を基調としたステンドグラスが見られる聖堂の外壁です。
受難のファサードと比して、こちらは塔に冠しているフルーツバスケットの大半が完成しています。
以上、夜のサグラダ・ファミリアの周囲をぐるっと散歩してみたら見えた景色でした。
