個人でヨルダンを旅する場合、ワディ・ラムのジープツアー&キャンプ泊も自分で探す必要があります。
ネットで検索すると沢山の候補が挙がり、ほとんどがトリップアドバイザーでの評価も高いです。
その中で公式HPでキャンプやジープツアーの内容を確認できる幾つかのキャンプにメールを送り、返信の速さや内容の誠実さ等を考慮して決めたのが「WADI RUM GREEN DESERT」でした。
当時(2014年)は、このキャンプにも立派な公式HPがあったのですが、記事執筆時(2022年)は、残念ながら公式HPにアクセスできなくなっていました。
しかし、トリップアドバイザーからこのキャンプのオーナーへe-mailを送れるし、ブッキングドットコム等のホテル予約サイトからキャンプを予約する事もできます。
この記事では、私が楽しんだプログラム【one day 4WD adventure (8hours of exploring) & one night stay】のジープツアー前半をお伝えします。
待合せ場所でお迎え
ワディ・ラムまでのアクセスについては、こちらの記事で紹介しています。
wadi rum green desertのオーナーであるNadjahとは、ワディ・ラム村のRest Houseで待ち合わせしていました。
9:30
事前に依頼していたタクシーに乗り込み、ペトラ(ワディ・ムーサ)からワディ・ラムへ向かいます。
10:50
Rest Houseに到着したらドライバーが電話連絡してくれて、Nadjahが車まで迎えに来てくれました。
因みに、ヨルダンでは地域によってタクシーカラーが違います。確か、ペトラからのタクシーはグリーンで、アカバからのタクシーはイエロー。グリーンタクシーでアカバへは行って貰えないし、イエロータクシーでペトラへは行って貰えません。
Nadjahは満面の笑みで迎えてくれているのだけど、声色はソフトで穏やかな口調です。余りにも穏やかな雰囲気に、一気に緊張が解れました。
ここに来る前に滞在したペトラでは、ホテルのオーナーと大声で怒鳴られながら(本人は普通にしゃべっているつもりかもしれませんが…)戦った(話し合った)記憶が軽くトラウマだったので、Nadjahに対しても気を張っていました。
因みに、ペトラのホテルで戦った様子は、こちらでご確認下さい。
若干ボソボソ感があり、「この人はシャイで、大きな声で喋るのが苦手なのかな?」と思ったけど、遠くの人を呼ぶときはお腹の底から太くて大きな声が出ます。
後に聞いてみたのだけど、穏やかで無駄に声を荒げる事がない、これがワディ・ラムのベドウィンの性格だそうです。「アラブ人とは違う!」と言っていました。
レストハウスでは、チャイを頂きながらこれから参加するプログラムの内容説明を受け、トイレ休憩を含め約30分程ゆっくりした所で、今回のガイド兼ドライバーのAbdulを紹介されました。
One day 4WD adventure ランチタイムまで。
11:20
Abdulの運転で約8時間のジープツアースタートです。
一応、プログラムに沿った内容ですが、参加者は私達2名で完全プライベートツアーでした。
ロレンスの泉 Lawrence’s Spring
レストハウスを出発し、村の中を2-3分走るだけで、この景色が広がります。
ジープの荷台に乗って風を受けて眼前に広がる広大な景色に「凄い」という言葉しか出ません。
15分程走ると、ロレンスの泉(の麓)に到着。
えっ?ここ何?!何を観たらいいワケ?となりますよね。
ここはラム山から湧き出た泉の水を引いて、羊やラクダ等の水飲み場として利用しているそうです。
ガイドのabdulから、泉はこの山の上にある。正直な所、大したことないけど、登る?と聞かれました。
登った先に目的地があるのなら、迷わず登ります。
泉は水色でマークした辺りにあります。
写真で見ると大した事なさそうな岩山だけど、実際は傾斜が凄いんです。
ヘタレな私は、ガイドのabdulに荷物を背負って貰い、手を引いて貰いながら登りました。
マジか!!
すっごく大変な思いをして登ってきたんです。足元は傾斜が強い上に土が乾燥して滑りやすく、本当に怖かったんです。なのに…これなのね。
でも、ここからの眺めは素晴らしいです。
因みにここは、Laurence’s splingsという触れ込みで立ち寄る場所ですが、ロレンスがその著書”Seven Pillars of wisdom”に書いてある泉というのは、同じラム山の麓でも、もっとラム村に近いところの泉のようで、別の所らしいです。
まぁ、ツアー序盤であいさつ代わりの軽いハイキングを楽しんだ、という感じで、次の場所へ向かいます。
ハザリ渓谷 Khazali Canion & Inscriptions
12:10
次の場所へ出発
ジープには、当時のヨルダン国王(かな?)のステッカーが貼られていました。
12:20
ハザリ渓谷に到着です。
ここでも歩くので、私のリュックを背負ってくれています。
渓谷の入口。観光客でごった返しています。
中はこんな感じで足元が悪い所もあるので、サンダルよりスニーカー等のしっかり歩ける靴がお勧めです。
混雑しているけど、影があり風も通るので涼しくて過ごし易いです。
ここで、Abdulによるナバテア文字の解説です。風化せずに残ってるって凄いですね。
これは、確か出産のシーンだったような…
ここで嬉しいお知らせ。
オーナーのNadjahが私達を追いかけてここまでやって来ました。
何事かと思えば、私達の頭に巻いているターバンを持って来てくれたのです。
Nadjahとは、事前に何度も何度もメールで打ち合わせをしていたので、根気よく付き合ってくれてありがとうの意味を込めて、出国する時に空港でチョコレート菓子を買って、お土産として渡していたのです。
Nadjah曰く、「ターバンはお土産のお返し」との事です。
お~嬉しいじゃない!この赤白のターバン、欲しいと思っていたんだ~。
混雑している渓谷内ですが、少し横に寄ってターバンを巻いて貰い、記念撮影。
用が済んだNadjahと別れ、そのまま渓谷を奥へ進みます。
突き当りはここ。
Abdulが「登って先にも行けるよ」と言っていたけど、こんな崖、登る気はありません。
ハザリ渓谷観光はここまで。来た道を戻って行きます。
大きな砂丘 Big Red Sand Dune
12:45
ハザリ渓谷を出発して、次の場所へ向かいます。
5分程で次の場所、大きな砂丘に到着です。
う~ん、写真では大きさが表現できていない!
Abdulは、裸足で登るといいよ、とアドバイスくれたけど、砂が暑すぎて裸足では歩けませんでした。
砂に足を取られ、息を切らせながら、何とかここまで登ってきました。
砂丘の上からサンドボードで滑り降ります。
1人で降りる自信がなかったので、Abdulと一緒に。
でもこのサンドボード、全くスピードが出ません。
余りに想像と違ったので、逆に面白くて大笑いしていました。
ボード裏を蝋で磨いたら滑るのかな?
いやいや、ここでは皆さんが思い描いているサンド・ボーディングをするには、砂が柔らかすぎてできないと思います。
それを見ていた私の相棒は、1人でGo!
因みに私は下で待っています。サンドボードはAbdulが運んでくれました。
あんな重たいもの持ちながらこの砂丘を登るなんて、私にはムリ!
good job、Abdul!ありがとう!
Abdulにサンドボードを預け、再度砂丘を登ります。
さっき登った所より更に上まで、砂丘のてっぺんまでやって来ました。
砂丘のてっぺんは、岩盤が広がっていました。
一面の荒野。映画「アラビアのロレンス」の世界観満載です。
十分に砂丘と景色を楽しんだので、ジープに戻ります。
帰りは、靴を脱いで全速力で駆け降りました。楽しい!!
ジープに戻ろうとすると、サロンで休憩していたAbdulに呼ばれました。
ワディ・ラムの至る所にこの様なサロンを備えたカフェがあります。
振舞われるチャイはフリー。観光客用に、砂糖少な目のチャイも用意されています。
私もチャイを頂きつつ休憩。
こうやって、何度か砂糖入りのチャイを貰っているからなのか、若干の空腹感はあるものの、お腹空いてフラフラもう歩けない!なんて事にはなりませんでした。
この時点で13:30。次はどこかな?
アンフィシー碑文 Anfishieh Inscriptions
Big Red Sand Duneを出発して4-5分で次の目的地、アンフィシー碑文がある場所に到着。
ここは、先に訪れたハザリ渓谷とは違い、吹きっさらしの岩面です。
紀元前3-4世紀にさかのぼる絵画だそうですが、こんなにはっきりと残っているって凄いですね。
Abdulが解説してくれています。
全体像はこんな感じ。一部残念な落書きっぽい所もありますが、オリジナルのInscriptionと違うのは一目瞭然です。
ランチの前に… お~っと大丈夫ですか?
13:50
アンフィシー碑文の説明をサクッと終えて、次の目的地にジープを走らせます。
10分程走らせた所でジープが止まりました。
こんな何も無いだだっ広い所です。
ジープを降りたAbdulが枯れ枝を集め始めました。きっと、ランチ用の燃料調達、って所でしょう。
私達もジープから降りてお手伝いします。
これだけあれば十分!さあ出発!とAbdulがジープを走らせて数分後、また停車。
次は何しましょ?
すると、Abdulは無言で作業を始めました。どうやら、右前輪がパンクしたみたいです。
「私達降りようか?」と聞くと、「大丈夫、好きにしてて」と言われたので、その通りにします。
炎天下での作業、ご苦労様です。
というか、この時私達はこの事態をそんなにシビアに考えていなかったのだけど、今思えばエライ事が起こっています。
だって、ここは砂漠の真っただ中。電波が飛んでいないのでレスキューの連絡ができません。
そして、私達はプライベートツアーで他の多くのツアーが出発した時間より随分遅くに出発しているので、周りには他のツアー車もいません。
Abdulの心中を察するとさぞ焦っていただろうし、不安だったと思います。
でも当時の私達は、いい加減空腹も感じ、前半のツアーでの疲れもあり、頭が働かず事態の把握が出来ていませんでした。逆にそれが良かった様です。
暇なので、今回頑張ってくれた博物館級のジープを紹介します。
トヨタのピックアップトラック(ディーゼル車)に布製の屋根を付けたもの。
この屋根、とても重要です。この日よけが無かったら、ここで私達は干上がっていた、というか、本気で熱中症になっていたでしょう。
写真下段は、砂丘で利用したサンドボード。事前にリクエストしていたので、車に積んでいてくれました。
荷台には人が座れる様にクッションが敷かれていて、お尻が痛いという記憶はありません。
ただ、サスペンションは「無」に等しいので、上下左右の揺れは大きいです。しっかりどこかを持って身体を支えないと、飛び出してしまいそうになります。それも、アトラクションっぽくて楽しかったけどね。
あと、大型スーツケース2つ積んだ状態でのツアーです。別便でキャンプへ運べばいいのに。
盗難トラブル回避等を考えているのか、燃費は気にしないのか、理由は分からないけど、私達のスーツケースは、私達と行動を共にしました。
約30分の作業の末、何とか応急処置ができたみたいで、出発です。
次はランチだよね!
手作りの【絶品!BBQランチ】
14:50
作業していた場所からゆっくり、そ~っと車を走らせて約7-8分、ランチ会場に到着。
影になっていて静かで緑がある所を選んだ様です。
まずは、火を起こします。
Abdulはジープの後ろに回り、何かしています。
ジープの荷台は、いつの間にか簡易キッチンになっていました。
Abdul、料理の準備をしていたのに、おもむろにその場を離れます。(写真左端で手を振り上げています。)
そう、近くを通る車を見つけると、Nadjahと連絡を取って貰う為に呼び寄せているのです。
近くといっても、近くない。私には車のエンジン音なんて何も聞こえないのに、Abdulはスーッと居なくなってその先を見ると車が走っていた、という事を何度か繰り返していました。
だって、応急処置した後にジープを走らせたので、こんな事になっているんだもん。
この状態では、もうどこへも動かせません。
こんな状況でも、私達は早くご飯できないかな~と近くを散策しながら待っていました。
タイヤの事なんて、気にかけていません。
ランチを待っている間、近くを通り過ぎるツアー集団を見かけました。
凄い!この炎天下、何もない所を徒歩でトレッキングするんだ。しかも、子供みたいに小さい子もいるじゃない。
無事に仲間のドライバーに連絡を頼めたのか、メインの肉準備に入りました。
これは、ラム好きの私が拘ってBBQを別途リクエストしていました。
通常はBBQではなく、チキンかラムのミートボールの煮込み料理だと思います。
中東・北アフリカで良く見るこの網、便利ですね。簡単にひっくり返せるし、イイ感じで焼き色も付きます。
さっきみんなで拾い集めた枯れ枝を炭にして、ラムをじっくり焼いていきます。
いよいよランチにありつけそうです。
大きなゴザを敷いて、メインのラム肉と付け合わせのサラダ、フムスが並べられました。
他に、山の様に重ねられたホブス(薄いパン・黄色のビニールに入っています。)、カップヨーグルト、デザートのクッキーも加わりました。
15:40 ようやくランチタイムです。
肉、期待通りというか、それ以上にスーパー美味しかったです。
スパイスの具合が絶妙で、あのつけ汁のレシピを教えて貰いたいです。
かなり空腹だったけど、肉とサラダで十分お腹一杯になりました。
クッキーは手をつけられず、箱ごとお返ししました。
ランチの後は、シーシャでもどう?
16:00
大満足なランチを終え、ゴザの上でゴロゴロゆっくりしていると、シーシャに誘われました。
普段喫煙しないので、煙ものには興味ないのだけど、青リンゴ味とかイチゴ味とか言われると、興味をそそられます。
コロナを経験した今、もうこんな事はできないけど、当時は平気でした。
そして、この写真の右上を見て!
タイヤ交換が終わってる!!
誰がいつの間に行ったのか、全く知らなかったけど、ちゃんとNadjahに連絡が入り、仲間が助けに来てくれたんだね。
Wadi Rum Green Desertのジープツアー前半を紹介
ペトラの村、ワディ・ムーサからタクシーでワディ・ラムへ到着し、ジープツアーに参加しました。
前半はロレンスの泉、ハザリ渓谷、アンフィシー碑文、絶品ランチの様子をお伝えしました。
タイヤがパンクするというトラブルがあり、タイムロスがあったけど、灼熱の砂漠ではよくある事らしいです。
だから、電波が届かない砂漠でもトラブルの際は仲間を助け合うシステムができているのでしょうね。
ドライバー、ガイド、クック、そしてメンテ全部1人で行うAbdulはホント頑張ってくれました。
ただよくあるトラブルなら、それが起こらない様に準備するのがオーナーの務めではないか、という考え方もあります。
日本でこんな事が起これば、何故スペアタイヤを積んでいないのか、かなり強く詰め寄ると思うけど、ここはヨルダン、日本とは常識も違います。
どうするのが正しいのかなぁ。この記事を書いていて答えに辿り着かない疑問に考えを巡らせる事になりました。
ここまでお付き合い頂き、有難うございました!