中東の王国ヨルダンの代表的な世界遺産、ペトラ遺跡をご紹介するこのシリーズの第4弾。
ペトラ遺跡と言えば、エル・ハズネやエド・ディルが有名すぎて、ここを観て満足される方も多いかと思いますが、メインロードから少し横道にそれたトレイルにも、見どころは沢山あります。
今回は、エド・ディルから戻ってきたその脚で訪れたペトラ(ビサンチン)教会と、足がすくむ下がスケスケな鉄骨橋を渡って向かった王家の墓群をご紹介します。
その後一度部屋へ戻り、夕食後訪れたpetra by nightの模様もお伝えします。
2014年時のペトラ・バイ・ナイトは、ロウソクの灯りを利用したもので、写真撮影には不向きだけど、神聖な行事としての厳かな雰囲気は味わえました。
今は、残念ながらLEDでカラフルな照明となり、ショーの要素が強いものとなっています。
アクセス方法
エド・ディルからレストランBasinまで戻ってきました。
このままメインロードを歩くだけでは面白くないので、まだ通っていない小道を歩く事にしました。
レストランから左手の丘を登るイメージです。
すると、遠くにこの景色が広がります。
壮大な王家の墓群です。
一番左の立派なモニュメントは、宮殿の墓です。
まずは、ここに向かう途中にあるペトラ教会を目指します。
保存状態の良いモザイクの数々を誇るペトラ教会
丘を登っていると、進行方向にテント屋根の建造物が見えてきます。
ペトラ教会です。
この教会は、かつて地中に埋もれていたのですが、1990年米国の考古学者によって発掘されたそうです。
元はナバタイ人の建物だったものを、ペトラのキリスト教化に伴いビサンチン時代の530年頃に教会に造り替えられたものです。
風化を防ぐ為に、テント屋根が設置されています。
保存状態が驚くほど良いモザイクをご堪能下さい。
宗教画風なモザイク群。
これ、本当に1500年程前のデザイン?と疑いたくなる程、現代でも十分使える分かり易いデザインですね。
絵本に出てきそうなデザイン。
ここの住猫。
テント屋根のお陰で常に日陰となり、心地よい風も吹き抜けております。
足元スケスケ、恐怖の鉄骨橋
ペトラ教会を後にして、さっき観た王家の墓エリアを目指して歩きます。
すると、こんな橋が出現しました。
う~ん、写真ではこの橋の怖さが伝えられない。
zoom inしてみます。
この橋は、鉄骨製でそれなりの強度はありそうなのですが…
地面と鉄骨部分の接地部(黄丸で囲んだ部分)が、こんなに危うい感じなんです。
ワディ(枯れ川)の上に設置されている橋で、右端の写真で谷底を写しているのだけど、写真では高さが表現出来ていない!
誰も渡っていない橋、大丈夫なのか私はかなりびびっていました。
でも、渡らないと目的地である王家の墓エリアへ行けないので、3分位躊躇したけど、意を決しました。
①:意を決して橋に乗っかってみたものの、怖くて脚は震えるし、手すりを放す事はできませんでした。
②:私が恐々渡っている時に、何人もの人が平気で渡って行きました。
③:それを見てようやく橋の強度を信じる事ができて、余裕(を装ってる)のポーズ。
そう、この橋は、耐荷重量制限(何人以上で渡らないで下さい)なんて表示は無いけど、一応10人程度が一度に渡っても大丈夫な様です。(2014年調べ)
私が渡った2014年4月時は、強度に問題はなさそうです。
しかし、この場所は風雨、そして直射日光にさらされているので、鉄骨との接地面はどんどん風化し削られていくのでは…
次訪れた時は、どうなっているのでしょう。心配です。
目指すは王家の墓群
王家の墓群の前まで到着しました。
到着と言っても、莫大なファサードなので、かなり距離があります。
写真の下の方に点々と見えるのが人です。
①:宮殿の墓
②:コリント式の墓
③:シルクの墓
まずは、王家の墓群の中で最も巨大な建築物で3階層からなる宮殿の墓に入ります。
宮殿の墓と言っても中はエド・ディルの中で観たのと同じ様な、長方形のくり抜きがある位で、シンプルです。
①の宮殿の墓に続き、お隣②のコリント式の墓へ向かいます。
この墓、風化が進んでいるけど、あれに似ていますね。
風化が進んでいるけど、それでも似ていると思います。
続いて、お隣のシルクの墓に向かいます。
黄矢印の所が、シルクの墓です。
この墓は、名前からもイメージされますが、ファサードの美しい地層が特徴的です。
別名、虹の墓だそうです。
続いて訪れるのは、壺の墓です。
ファサードの頂点に壺の彫刻があるので、その名がついたそうです。
麓のお土産通りから登って行きます。
2014年の時点でこんなに賑やかなお店が並んでいるけど、2018年は更に店の数が増えていました。
景色が変わってしまう程の変化です。
レンガ積みされているアーチの部分に入ってみました。
中にもレンガがぎっしり積まれていて、小さな部屋が細い通路で繋がっていました。
壺の墓入口まで登ってきました。
ここは高台にあるので、休憩を兼ねて景色が楽しめる様に外に向けてベンチが用意されています。
ただ、日陰がないので、座っている人は居ません。
中は、他の墓と同じ様に、がら~んとしています。
ひと際目を引くユニフォームです。
エル・ハズネ前にもこのユニフォームを着た若干イカツい系の人が居ました。
(イカツい系だけど、エルハズネをバックにした写真撮影には応じて頂けました。)
この人も、イカツい系のお顔立ちだったので、実は本物の警官というか、ベルベルの土地の治安を守る人だったのかな。
腰に巻いている弾丸、これも本物?!
白馬が崖の僅かなスペースに居ました。繋がれていたのかな?
一心不乱に下を向いて餌を食べていたのか、水を飲んでいたのか…。
ただこの場所、とんでもなくDanger!!
一番幅が広い所でも、馬の幅より狭い。そして、後ろ脚を少しずらすと、崖から落ちてしまいます。
こんな状況でも、現地の動物たちは逞しく生きています。
夜のペトラ・バイ・ナイトに備えます。
壺の墓を後にして、麓に降りて行きます。
そろそろホテルへ戻ろうと思います。
帰り道にも、何気に存在感たっぷりのファサード。
岩面のツルツルさがとっても魅力的。
いちいち反応して写真を撮っています。
この後、エル・ハズネでたっぷり写真を撮り、シークでいちいち感動しつつ、ホテルへ戻りました。
シャワーを浴びて、さっぱりして、晩御飯へLET’S GO!
晩御飯は、ワディ・ムーサのレストランで頂きました。
大好きなラムのケバブと、ミートソースがのったピラフみたいなのを二人でシェアしました。
ドリンクは、いつもこれ、「レモンミントジュース」。
食後、レストランのスタッフに車を手配して貰って、再度ゲートに向かいました。
今晩は、ペトラ・バイ・ナイトを楽しみます。
2014年のペトラ・バイ・ナイト
晩御飯の後、レストランスタッフにお願いして車を手配し、夜のペトラへやってきました。
集合時間の20時になると、スタッフが来て説明します。
「ペトラ・バイ・ナイトは遊びではなく神聖な行事です。騒がず心穏やかに参加する様に!」
そう言ってゲートからエル・ハズネに向けてシークを歩き始めます。
ペトラ・バイ・ナイトは、観光客向けのアトラクションではあったけど、日没後のペトラはベドウィン達にとって神聖な領域で、宗教行事色の濃い感覚で行われていました。(2014年当時は。)
でも、人(観光客)が大勢集まって歩いているのです。静かなワケありません。
小声で話していても、人数が多いのでそれなりに騒がしくなります。
先頭を歩くベドウィン先導スタッフは、その都度立ち止まって「うるさい!静かにしなさい!」と注意します。
それを何度も繰り返し、しまいには
「静かにできない人は帰りなさい。ここから先は行かせない!!!」
とかなり本気で怒鳴っていました。
濃い顔の大柄な成人男性に本気で怒鳴られると、結構ビビります。
漆黒のシークを歩いているのですが、道に街灯なんてありません。
足元に淡くゆらやぐロウソク行燈が3-5m間隔位に置かれていただけです。
それはそれで幻想的な光景で美しいのだけど、道はガタガタで石も転がっています。
景色を楽しむ、というよりは、つまづかない様に足元を見て歩くのに必死です。
懐中電灯が必要です。
エル・ハズネ前に到着すると、ロウソク行燈が一面に置かれていて、幻想的でした。
参加者は、自由に腰かけて待っていると、温かいチャイのサービスがありました。
暫くすると、ベドウィンによるペトラの歴史解説、ベドウィン音楽の演奏が行われました。
最後に暗闇に佇む幻想的なエル・ハズネの記念撮影です。
2014年時のペトラ・バイ・ナイトでは、LED照明もなく、ろうそく以外の光源はありませんでした。
なので、個人のカメラでフラッシュを利用しても、全くの光量不足。
そこで司会者が、参加者に協力を促します。
「ここはロウソクの灯りしかないから光が弱い。でもみんなのフラッシュを一度に当てると強い光になる。」
そう言ってカウントダウンします。3・2・1
その光で撮ったのが、この一枚です。
みんなのフラッシュが一度に光った瞬間、薄暗かったエル・ハズネが暗闇から浮かび上がり、なかなか感動的でした。
今は経験できない2014年のペトラ・バイ・ナイトの良さ
2014年に行われたペトラ・バイ・ナイトは、原始的で今手元にある物を使って行っていた感が満載です。
行燈も、紙の袋の底を開けて中に本当のロウソクを立てているものです。
歩きながら、「よく紙が燃えないものだわ」と思っていました。
ベドウィンによる解説も、マイクなんて無く、たまに拡声器を使っていたけど、ほぼ肉声で行っていました。
色としてはロウソクの炎の色しかありません。
昼間に観るエル・ハズネの華やかさの方が断然テンション上がるけど、この暗い中で観る厳かなエル・ハズネも感動的な経験でした。
残念ながら、今はこの経験が出来ません。
理由は、色んな意味でペトラ・バイ・ナイトがアトラクション化してしまったからです。
ろうそく行燈はLED行燈に、エル・ハズネにもLEDライトによる照明が施されています。
そのため、十分な光量があり、キレイな写真が撮れるのだけど、そのライトが紫だったりピンクだったり…
アラブ系の人達って、カラフルな色がお好みな様で、クラブの様なライトニングです。
私より後に行った方のブログ写真を見て、驚きました。
好みは人それぞれなので、今のアトラクションを否定はしませんが、私は昔から行っていた素朴なペトラ・バイ・ナイトを経験できた事を、嬉しく思っています。
まとめ:ペトラ教会・王家の墓群・ペトラバイナイトを紹介しました。
今回は、メインロードを外れた所にある遺跡を紹介しました。
ペトラ教会では美しいモザイクが保存状態良く残っています。
鉄骨製だけど、設置に不安があった(個人の意見!)橋を、ドキドキしながら渡るのは楽しかったです。
王家の墓群は名前の通り、立派なファザードを有する墓が連なっていて圧巻です。
エル・ハズネと類似しているコリント式の墓の比較も面白いです。
ペトラ・バイ・ナイトは、参加直後は「1度観たらもういいよね」と思っていました。
理由は、昼間歩き疲れた上に、更に晩の暗い中足元を気にしながら歩いて疲れ果てたというのが一番の理由です。
でも、今となってはLED照明化されていないペトラ・バイ・ナイトを経験できて本当に良かったと思っています。
ここまでお付き合い頂き、有難うございました!